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February 06, 2008

「カラマーゾフの兄弟」読了

 ドフトエフスキー原作、亀山郁夫訳の「カラマーゾフの兄弟」を先日読み終えました。
 長かった。
 実に長かった。
 2006年11月発行から、細々と、嫌になったら、ほかの本に逃げたりして(汗)ようやく読み終えました(^^;

 2007年は初めて村上春樹の小説と翻訳を読みましたが、この作品は、彼自身が、影響を受けた小説の中のひとつだそうですがそれも良く理解できます(他は「偉大なるギャッツビー」「ロング・グッドバイ」)。

 この年は。いろいろとまあ本は読みましたが、これほど読むのに苦労した本は珍しい(^^;けれど、面白くなってくると、これほど面白い作品も珍しい。
 やはり、最初は名前で戸惑った。愛称と本名と、名字で呼ばれる登場人物に、困惑(^^;しおりは大変約に立ちました。そんなこんなで、2巻を読み終えるまでに夏場を過ぎるというありさま、しかし、教会での会合を終えて、ゾシマ長老の長い昔話からが面白くなってくる。

 この小説には、登場人物分の人生があり、自己発見(自己革命)を見出せる。
 人と人が会うことで、いろんな思惑が絡み合い、意外な効果を及ぼす。
 小説では、よくあること(そうでないと話にならないか?)ですが、この小説は、それが劇的に、まるで雷に打たれたかのように、登場人物に訪れる。
 個人的には、次の場面が素晴らしく印象に残ってます。
 イワンとアレクセイの居酒屋での対談
 アレクセイとグルーシェニカとの対談
 ドミートリーが受ける予備審問
 コーリャ少年のくだり
 イワンと悪魔の対談
 裁判場面
 読み終えた今では、どの場面を切り取っても絵になるし、教訓めいてるし、暗示的である。100年以上前の小説といえど、現在となんら変わらないことに、改めて衝撃を感じる。
 特に裁判シーンは圧巻です。熱しやすい冷めやすく、スキャンダルに飢えている民衆。このシーンを読むだけで、現在のあらゆるスキャンダルは、この小説の焼き直しかいなと思ってしまい、新鮮味を失うでしょう。

 つい最近、芸能人が名作を紹介する番組でケンドウコバヤシさんが、「カラ兄」と称して、ワイドショー風に紹介してました(^^;
 まあ、確かに父殺しという視点から見ればそうなんでしょうけどね。
 読んでいれば気がつくのですが、この小説の背景には、社会主義というモンスターが頭をもたげてくる時代、「神は死んだ(これは、ニーチェ)」と早合点する人々(汗)が出てくる時代、とにかく古い価値観が失われる危うい時代の不安を描いています。
 そういった意味では、宗教観は、もはや無く道徳観も乏しくなったわが国の状況とあんまり変わりません。しかも、現に肉親殺しが頻発する社会になってしまいました。小説を読みながら、こんな社会に対して深く考えるよい機会でした。

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